NAVERまとめ規約の問題点メモ

最近以下のニュースが話題になってますね。おおよそDeNAの件が原因でしょうが。

 

LINE、権利者の申告時点で投稿非表示 まとめサイトで :日本経済新聞

 LINEは28日、自社のキュレーションサイト「NAVERまとめ」で新たな対策を始めたことを明らかにした。

 著者などの権利者から著作権侵害の申告があった時点で、侵害の可能性があるとみなして投稿を非表示にする。その後、投稿者に許諾の有無などを確認したうえで問題がなければ再表示する。

 投稿者の同意がなくても、著作権侵害の事実などが確認できれば申告者に投稿者の情報を開示するようにした。これまでは投稿者のプライバシーを守るため、投稿者についての情報開示は本人の同意を得るようにしていた。

 

上記のニュースを受けたライターさんやクリエイターさんの方々は皆口を揃えて、
「クリエイターの時代だ!」「損害賠償でガッポガッポ」「NAVERまとめ書いてる奴らは終わりだ」
などと言っていますがその認識はちょっと間違っているかなと思ったので今回の記事を書く事にしました。
その過程で浮かび上がってきたNAVER運営の問題等についても取り上げていきたいかな、と思います。
 
まず何が間違いなのかと言うと「投稿者の情報を開示する」と言っていますが、
NAVERに登録されている投稿者の情報はせいぜい「メールアドレス」「ユーザー名」、あとインセンティブ受取を設定していた場合楽天銀行の口座」程度でそれらを使った所で損害賠償請求を行うことはできません。
結局のところIPアドレス」「タイムスタンプ」等の発信者情報を請求して通常通りの発信者情報開示請求と同じくISP(プロパイダの事)相手に訴訟を起こさなければならないと思われます。
まぁそうなってくると裁判費用が損害賠償請求と発信者情報開示請求両方で百万円近い費用を払って裁判をやらなくてはいけなくなるので上記の「クリエイターの時代だ!」「損害賠償でガッポガッポ」なーんて意見はちゃんちゃらおかしい訳で。
そうしようがそうしなくともここで一つの問題点が浮かび上がります。
 
まずサイト相手の発信者情報開示請求という物は基本的に裁判所の仮処分を取ってからでないと出来ません。
そこらへんの個人経営の掲示板相手ならばともかく、企業が運営している掲示板やSNSの場合、ISPと同じく特定電気通信役務提供者(要するに侵害情報を書き込む場所や手段を提供しちゃった人・企業)としての信用と言う物があるので建前だけでも裁判所の命令を取らないと開示しないんです。(例:2chTwitter等。)
 
そして上記で説明したそれはプロパイダ責任制限法上における発信者情報開示として扱われます。そしてNAVER運営、LINEは企業です。建前だけでも投稿者側を守らなきゃいけない立場なんです。
上記ニュースを見る限り「通報があって権利の侵害を会社側が確認したら投稿停止して開示しちゃうよ」ってスタンスなんですよ。投稿停止や侵害情報送信防止措置だけならともかく投稿者の情報を一般人の通報だけで判断して開示しちゃうって言うのは一企業の在り方としてどうなんだ、って話なんです。
それにこの制度を悪用すれば気の食わない奴の投稿者情報を開示してもらって特定した後、私刑に処する事だって出来てしまうかもしれないしどう考えてもおかしい話なんですよ。
 
また侵害情報やどこが判断するのか明確に分からなかったのでNAVERまとめのプライバシーポリシーと利用規約が見てきたんですけど規約の更新が無いんですよね。(2017/1/1現在)
この状態で上記の手順方法で開示しちゃったらNAVER運営が利用規約や個別規約を無視した運営をしたということにもなりかねないのではないでしょうか
 
↓archive、英語なので注意

http://archive.is/awadp

http://archive.is/Or1H7

おまけにとんでもない条項を見つけてしまったのでこちらで取り上げておきたいと思います。

NAVER Terms and Conditions of Use

第10条(個別利用規約との関係)

  1. 本サービスに関して、本規約とは別に「利用規約」、「ガイドライン」、「ポリシー」などの名称で当社が配布または掲載している文書(以下「個別利用規約」といいます。)がある場合、利用者は、本規約のほか個別利用規約の定めにも従って本サービスを利用しなければなりません。
  2. 個別利用規約と本規約とで矛盾する内容が規定されている場合、矛盾する箇所に限り、個別利用規約の内容が優先して適用されます。

第12条(準拠法、裁判管轄)

本規約は日本語を正文とし、その準拠法は日本法とします。本サービスに起因または関連して利用者と当社との間に生じた紛争については東京地方裁判所または東京簡易裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とします。かかる管轄裁判所で得られた勝訴判決は、いずれの国の裁判所においても執行可能とします。

 

Privacy Policy - NHN Japan Privacy Center

当社は利用者の個人情報を下記の場合を除いて第三者に提供することはございません。

  • ご本人が事前に同意した場合
  • 法律に基づく場合
  • 利用者がNAVERサービスの利用規約に違反し、当社の権利、財産やサービスなどを保護するために、個人情報を公開せざるをえないと判断するに足る十分な根拠がある場合
  • 人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難である場合
  • 公衆衛生の向上または児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難である場合
  • 国の機関もしくは地方公共団体またはその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合
  • 合併、会社分割、営業譲渡その他の事由によって個人情報の提供を含む当社の事業の承継が行われる場合

 

これ、意味分かりますか?

解釈の仕方次第では、どこの国の法律を準拠法とするか明記していないプライバシーポリシーが利用規約と矛盾している為、利用規約よりも優先されると解釈できるので、極端な話をすると「良く分からんアフリカの小国の法律に違反してるっぽいからお前の投稿者情報提供したわw」とかも出来てしまうわけです、流石に無いと信じたいですが。

 

まぁ要するに

著作権侵害に対する対応なら侵害情報送信防止措置のハードル下げてやればいいだけだよね

・別にクリエイターがガッポガッポになるわけでもなく利用者の個人情報が危うくなっただけだよね

・大企業のくせに裁判所の紙っきれも貰わず独断で開示するっておかしいよね

・本当に仮処分なしで開示するならば利用規約をさっさと更新しなさいよ

・とんでもない解釈が出来る利用規約を何年も放置してるって本当にこの会社法務部あんの?

って話です。

 

僕個人としては宗教上の理由でLINEを使わない理由として強固な裏付けが出来てしまったのでありがたい話ではありますが。

次の記事では今度こそログイン型投稿の話をやりたいと思っています。

 

おしまい